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序章 イチオシ名店シリーズの作成のきっかけ

序章 イチオシ名店シリーズの作成のきっかけ

イチオシ名店シリーズを作成し、サイトに公開するきっかけとなったのは、マラッカでとある旅行情報誌を読んでいて「あれっ?この店、ずいぶん前に閉店してるのに載ってるんだな~」と気がついたときでした。

1年に1度しか発行されない旅行情報誌の取材から印刷製本~書店販売の出版サイクルを考えると致し方ないことです。

しかし、取材時に閉店している店、オーナーやシェフが替わって味やサービスの品質が落ちた店も、前回版のまま、最新号に流用転載されているのは、いかがなモノか?と思い、最新情報を自分で食べ歩いて検証した結果を公開することにしました。

2004年から、イチオシ名店と名付けコンテンツを公開してきましたが2011年11月現在28店舗の登録となっています。ファイル名は35番まで付いています。実は、この7年間で7店舗が閉鎖、閉店、もしくはサービスや味が落ちたので削除しています。

さらに、2015年のリニューアルではまたまた厳選されて現在21店が登録されています。過去掲載してきた13店舗が取捨選択の結果、掲載から外れている計算になります。逆に残っているお店は、小さな屋台だったのに大きな店舗に拡張した成功店もあります。

そして、2020年にデザインもリニューアルして再取材を行いました。スタートはわずか15店舗に絞り込んでいます。

筆者が美味い!と感じたり心地よいサービスが受けられるお店や団体を紹介してるので、掲載されているイチオシ名店は、広告ではありません。旅人の目線でこれからもイチオシの名店を追加更新していきたいと願っています。

イチオシ名店シリーズ

わかっていることは、わからないということだけ

その昔、読んで心を打たれ今でも旅先に携帯している沢木耕太郎さんの著した「深夜特急」の表現をお借りして、筆者の取材・執筆基本方針を説明します。

『わかっていることは、わからないということだけ』

 そうだ、あれはタイでのことだった。ソンクラーのホテルでバンコクに駐在する日本人の夫妻と出会い、一晩バーで酒を飲んだことがあった。

 とりわけご主人はタイについて詳しく、私が抱いていたタイやタイ人についての疑問に納得のいく答えをいくつも提出してくれたものだった。

 ところが、夫妻が披露してくれたタイ式一口噺(ひとくちばなし)にひとしきり笑ったあとで、ご主人が真顔になって言ったのだ。

「しかし、外国というのはわからないですね」

 私にはその言葉は意外だった。彼がどういう種類の仕事をしているかはあえて訊ねなかったが、それまでの断片的な話によってさえ、タイの政治と経済について深い知識を持っていることは歴然としていたからだ。

「外国ってわからない」

 ご主人が独り言のように繰り返し、さらにこうつけ加えたのだ。

「ほんとうにわかっているのは、わからないということだけかもしれないな」

「でも、さっきからいろいろな話をうかがっているうちに、タイという国が少しずつわかってきたような気がしましたけどね」

 私が言うと彼は苦笑して言った。

「いや、ああいったことぐらいで一つの国をわかったように思うのは危険だよ」

 それはそうだろうが、と私が反論しかけると、ご主人はそれを制して続けた。

「状況はどんどん変化して行くし、データなんかは一年で古びてしまう。それに経験というやつは常に一面的だしね」

 確かに、それはそうだ。

「知らなければ知らないでいいんだよね。自分が知らないということを知っているから、必要なら一から調べてみようとするだろう。でも、中途半端に知っていると、それにとらわれてとんでもない結論を引き出しかねないんだな」

 そういうことはあるかもしれませんね、と私は相槌を打った。

「どんなにその国に永くいても、自分にはよくわからないと思っている人の方が、結局誤らない」

 なるほど、と思った。日本にも、外国にしばらく滞在しただけでその国すべてがわかったようなことを喋ったり、書いたりする人がいる。それがどれほどのものかは、日本に短期間いた外国人が、自国に持ち帰って喋ったり書いたりした日本論がどこか的はずれなのを見ればわかる。日本人の異国論だけがその弊を免れているなどという保障はないのだ。わかっていることは、わからないということだけ、という彼の言葉は新鮮に響いた。

沢木耕太郎先生著「深夜特急」南ヨーロッパ編 第十七章果ての岬より

筆者は、マラッカを生活の拠点にしていますが、マレーシアでは外国人です。

現地に溶け込んで生活しているつもりですが、周りの人は「Tonyは日本人だ!」と少なからず線が引かれているのでしょう。生活習慣や宗教観は自分でも明らかに違うと感じます。

しかし、私はマラッカの街を旅してくださる日本人旅行者の方々に、マラッカの活きた情報を届けることができる環境に暮らしています。筆者の主観でまとめた情報ですが、広告料や友人の情けで宣伝しているわけではありません。

日本人の好みに合う味や雰囲気、気軽に立ち寄れる店を厳選して取りあげています。これをどう生かすかは使われるあなた次第です。

Tonys Net管理人 Tony Kansai
初版公開 2004年7月9日
加筆 2015年10月20日
加筆 2016年7月31日
加筆 2020年8月10日

夕陽

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