ハーモニーストリートのモスク
- マラッカにあるハーモニーストーリー(Harmony Street)を地図で探しても見つかりません。現在の地名はJalan Tukang EmasからJalan Tokongに続く通りをハーモニー通りと地元で呼んでいるのです。
- なぜ、ハーモニー?という疑問にお答えしておきましょう。東側から、マレーシア最古のヒンドゥ教寺院、歴史と伝統を受け継ぐイスラム教モスク、マレーシア最古の中国仏教寺院が並んでいるからなのです
- 異なる宗教の由緒正しき最古参の寺院やモスクが150mの距離に軒を連ねているのです。だから地元の人が親しみを込めてハーモニーストリートといつの頃からか呼ぶようになったんです。
- 互いに敬意を持って接するのですが融合することなく、不可侵のスタンスで共生しているのです。八百万の神を信仰対象とする、平均的な日本人からは想像できない真摯な宗教の世界があるんです。
- さてさて、話が長くなりましたが本日紹介するのはカンポン・クリン・モスク。ガイドブックや旅行ガイドさんが「マレーシア最古のモスク」として紹介したりしますが、それはあきらあかな間違いです。
- 現存するマレーシア最古のモスクといえば、このカンポンクリンモスクから北に300mの距離にある1728年に建造されたカンポンフルモスク(Kampung Hulu Mosque)です。 マレー語ではMasjid Kampung Klingと綴り、マスジット・カンポン・クリンと発音します。
- カンポンクリンモスクは1748年にインドのムスリム商人らによって建立されました。モスクといえばアラビアン風のドーム型屋根が多いのですがカンポンクリンモスクは緑色の三角屋根が特徴です。
- モスクの意匠や建築を担当したのが中国人回教徒だったそうです。だから屋根のカタチが中国の寺院やモスクのデザインが採択されたんだとか・・・。実際に建物を見聞すると漢字が彫刻されていたりします。
- 三角屋根は、地元でスマトラ屋根と呼ばれており、マラッカ州のあちこちで見ることができるんですが、お隣のジョホール州やネグリセンビラン州などの州境をまたぐと見あたりません。不思議です。
- マラッカだけに伝わっているモスクの屋根なのです。一度に6000人の礼拝者を収容できるマラッカ州立モスクもこのスマトラ屋根なのです。間近で見上げるとすごく大きな巨大モスクです。話を元に戻します・・・
- ハーモニーストリートに並ぶカンポンフルモスクの地元信徒さんたちは観光客の来訪に対して理解があり、来るもの拒まずでモスク敷地内への立ち入りを許容してくださっています。
- 観光名所のアトラクションじゃなく祈りを捧げるモスクだから、入場料を徴収することなどはありません。そういうことを理解した上でお祈りのジャマにならないように見学してください。
Kampung Kling Mosqueにて