さらば、クレイバンビーチの海岸線
- マラッカの新興埋め立て地区、マラッカラヤからクルマで北上すること約30分。かつてこのエリアはマラッカの豪商たちが広い敷地に手入れの行き届いた自慢の庭を競う特別豪華な居住エリアであった。
- 地元の人たちはクレイバンビーチと呼ぶ。15年ほど前からコンドミニアムや建て売り住宅が建ち並びはじめたが、それでもこのクレイバンといえば高級住宅地として庶民たちにとってあこがれの土地だった。
- マラッカ海峡に面する砂浜のビーチ。年中クソ暑いマラッカだけど、陽が沈むと海峡を吹き抜けてきた涼風が心地よい。リッチなババニョニャ系民族、中華系マレーシアンがこのエリアの住人だった。
- このビーチにも埋め立て開発の波がやってきた。マラッカラヤから北上して伸びてきたハイウェー建設のため海岸から約750メートルほど埋め立てして、地盤が落ちついたらハイウェーが延長される。
- マラッカ海峡を望み、潮風吹き抜ける海岸沿いの豪邸はその立地条件を大きく変えられてしまう。高速道路のおかげで市内中心部まで30分かかっていた移動時間は半分以下になると思う。
- 通勤通学、買い物などは便利になるけど、シーサイドだったはずが高速道路や新興建て売り家屋が見えていたはずのマラッカ海峡を隠してしまう。これも時代の移り変わりとして享受しなければならないのか。
- 話は変わるが、筆者がマラッカに漂着した頃、この海岸線できれいな夕陽を見ることができた。アパートを借りる前、ホテル住まいをしていた頃にレンタカーでブラブラしてたらこのクレイバンにたどり着いた。
- 夕暮れ時、海岸の遊歩道にはマレー系の住人がたくさん集まっていた。何をするでもなく海岸で夕陽を見ている彼らに混じってマラッカ海峡に沈む夕陽をながめながら撮影した。
- とある家族連れに撮影許可をいただいてカシャとストロボを炊いて撮影していたら、ぜひその写真を送って欲しい!と住所を渡され後日送ったら、感激されて晩ごはんをご馳走していただいた。
- 思えば、マラッカに滞在をはじめてマレー系の友人ができた最初のきっかけがこのビーチだった。あれから12年埋め立て工事の進むクレイバンビーチに人影はない。さらば、クレイバンビーチの海岸線。
マラッカ郊外のクレイバンビーチにて