家具職人の進化論 ババ・ニョニャ民族博物館にて
- ババ・ニョニャ民族博物館(The Baba Nyonya Heritage Museum)は1896年に建設された豪商の住んでいた家をそのまま博物館にしたマラッカでは珍しいプライベート・ミュージアム(私立博物館)です。
- 初代館主は中国福建省出身の農園経営者、チャン・チェンシゥ氏。現地でマレー人女性と国際結婚し、生まれてきた男の子をババ、女の子をニョニャと呼ぶババ・ニョニャ民族としてこの地に暮らしました。
- 現在の館長さんは3代目、チャン・キムレイ氏。80歳を越えてもお元気でほぼ毎日博物館の事務所で執務に就いてらっしゃいます。写真はメインゲストルーム(来賓室)の控えの間にあるダイニングテーブル。
- 木製のテーブルの天板にはイタリアから取り寄せた大理石が使われています。家具はすべて中国から連れてきた専任家具職人が作りました。ババニョニャの豪商は、桁外れなお金持ちだったんです。
- 四季のある中国大陸から渡ってきた家具職人は当初、代々伝えられた伝統的な中国式デザインの家具を作っていました。黒檀、紫檀という木材を使った家具は百年以上たった今でも現役です。
- アンティックな雰囲気の椅子にご注目!この椅子は通称「マラッカ・チェア」と呼ばれています。家具職人がマラッカに住みついて南国に慣れ親しんだ頃生まれたデザインです。
- 年中クソ暑いマラッカの気候に適応するため、背もたれと座席部分に「籐」(とう)を編み込んで風通しをよくしました。つまり南国マラッカに対応した実用的な機能を付加したのです。
- しかし、背もたれや脚部の曲線彫刻は西洋とマレーのトラディショナルなデザインを取り入れています。いわば中国とマレー、そしてヨーロッパの「いいとこ取り」をしたのです。進化した家具職人の産物です。
- 追記:お元気だったアンクル・チャンことMr. Chan Kim Lay(曽金礼:チャンキムレイ氏)は2012年1月6日に逝去されました。享年91歳。ご冥福をお祈りします。
- ババ ニョニャ ヘリテージミュージアム(民族博物館)
- The Baba Nyonya Heritage Museum
- No. 48 Jalan Tun Tan Cheng Lock, Melaka 75200, Malaysia
- +606-283 1273