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メイドインジャパンのアンティークタイルの足跡
メイドインジャパンのアンティークタイルの足跡
ずいぶん前のことだが、日本の建築業界の雑誌で取材にいらしたライターさんの通訳兼観光ガイドを引き受けたことがある。マラッカであたりまえに目にしていたタイルがこんなに華麗なモノだったと気がついた。
じっくり観察してみるとたしかに華麗な彩りを発するタイルは美しい。このタイルの中にメイドインジャパンのアンティークタイルが含まれていることを骨董品店のオーナーから聞いたとき我が耳を疑った。
オランダとかヨーロッパの国がデザインを競い合って焼き上げた陶製タイルと思いこんでいた筆者。日本製でもこういう西洋のニオイがするデザインのタイルがあったんだと異国の地で祖国の過去を学んだ。
戦前、日本は西洋人の好む陶器を焼いて輸出して外貨を稼いでいたそうだからタイルが同じルートで海外に輸出されていたとしても不思議はない。当時、東西交易の中継港としてマラッカは栄えていた。
マラッカの輸出入商社を経営していた豪商は、想像もつかない利益を上げていた。高価な装飾タイルをふんだんに使って自慢の豪邸を飾っていたのだろう。実際に今でも昔からの豪商宅にはタイルがある。
戦後、マラッカの港としての機能はシンガポールやKLのポートクランに移行したため輸出入の海運業は没落した。替わって、マラッカはゴムやパームオイル(椰子油)の天然資源と観光業が隆盛した。
没落した家が取り壊されるとき、骨董品店のオーナーは二束三文で家屋解体の権利を買い取り、手作業でタイルや骨董品を大量に仕入れる。そして磨きあげられたタイルは高額な値段で店に並ぶ。
ゴム農園やパームオイル農園、ホテル経営などで儲けた新興の豪商たちは、こうしたアンティークなタイルを大枚をはたいて買い付ける。そして自慢の豪邸を飾る。まさにエコ、地球に優しいタイルのリユースだ。

ジョンカーストリートの骨董品店にて
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